キャッシュレス決済が普及し、普段の買い物で利用する人も多いクレジットカードですが、「締め日」や「引き落とし日(支払日)」など引き落としの仕組みをきちんと把握しておかないと、クレジットカードが使えなくなる場合があります。この記事では、クレジットカードの引き落としの仕組みなどの基礎知識から、支払遅延を防ぐために引き落とし日(支払日)までにやっておくべき対策などを解説します。
クレジットカードの引き落としの仕組みとは?
多くのクレジットカードは、締め日の翌日から次の締め日までの1カ月間の利用金額をまとめ、決められた引き落とし日(支払日)に銀行口座から引き落とされる仕組みになっています。
例えば、締め日が毎月15日、引き落とし日が翌月10日に設定されたクレジットカードの場合、前月16日から当月15日までの利用金額が翌月10日に引き落とされます。
締め日と引き落とし日は、カード会社により異なります。自分が利用するクレジットカードの、締め日と引き落とし日を確認しておきましょう。
クレジットカードの引き落とし日(支払日)とは?
クレジットカードの引き落とし日(支払日)とは、1カ月間の利用金額を支払う日のことで、登録した銀行口座から1カ月間の利用金額が引き落とされます。引き落とし日に滞りなく利用金額を引き落とせるよう、銀行口座の残高を確認しておく必要があります。
引き落とし日(支払日)に実際に引き落とされるのは何時?
クレジットカードの利用金額が引き落とされる時間は、金融機関によって異なります。当日、銀行口座の残高不足で引き落としができないときは、時間を置いて再度引き落としを行うところもあります。
また、金融機関によっては、引き落とし日当日の締め切り時間(入金制限)を公開しているところがあります。入金制限を知りたいときは、金融機関のWebサイトで確認するか、電話などで問い合わせてみましょう。
引き落とし日(支払日)が土日・祝日の場合どうなる?
どの金融機関でも、クレジットカードの引き落とし日(支払日)は決まっています。しかし、引き落とし日が土日・祝日にあたる場合、金融機関は休業になるため、引き落とし日は翌営業日に変更となる場合が多いです。
例えば、10日が引き落とし日のクレジットカードで、その月の10日が日曜日にあたる場合、引き落とし日は翌営業日の11日月曜日になります。
ただし、金融機関によっては、引き落とし日を前倒しにするところもあります。
例えば、10日が引き落とし日のクレジットカードで、その月の10日が日曜日にあたる場合、引き落とし日は前倒しの8日金曜日になります。
クレジットカードの引き落とし日に銀行口座が残高不足だと、引き落としがされず、支払いができなくなります。
そのような事態を防ぐため、自分が利用するクレジットカードの引き落とし日や、引き落とし日が土日・祝日にあたる場合の対応についてしっかり確認しておきましょう。
クレジットカードの締め日・確定日とは?
締め日とは、クレジットカードの利用分をまとめる日のことで、カード会社ごとに決められています。
ただし、締め日までの利用分が必ずしも請求額として確定されるわけではありません。クレジットカードを利用して支払われた店舗は、カード会社へ利用分の請求処理をおこないます。その後、請求処理をされた利用分がまとめられ、カード利用者ごとに請求額が確定されます。このように、カード利用者ごとに請求額が確定する日のことを確定日といいます。
確定日はカード会社によって異なりますが、一般的に、締め日の10日ほどあとに設定されています。店舗でその月の確定日までに請求処理されなかった分は、引き落とし日が1カ月後ろ倒しになります。
クレジットカードの締め日・確定日・引き落とし日(支払日)の例
クレジットカードは締め日と確定日、引き落とし日(支払日)が決められていますが、これらはどのような関係になっているのでしょうか。ここでは、「15日締め翌月10日払い」と「月末締め翌月26日払い」を例に解説します。
15日締め翌月10日払いの場合
締め日が15日、引き落とし日(支払日)が翌月10日のクレジットカードの場合、当月15日の締め日にあたる利用期間は、前月16日から当月15日までになります。15日の締め日から10日ほど経った26日頃が確定日となり請求額が確定し、翌月10日に引き落としとなります。
月末締め翌月26日払いの場合
締め日が月末、引き落とし日(支払日)が翌月26日のクレジットカードの場合、当月末日の締め日にあたる利用期間は、当月1日から末日までになります。末日の締め日から10日程度経った翌月11日頃が確定日となり請求額が確定し、翌月26日に引き落としとなります。
クレジットカードの支払いが間に合わないとどうなる?
クレジットカードの引き落とし日(支払日)に銀行口座が残高不足だと、引き落としがされず支払いできません。支払いできないとどのようなことが起こるのでしょうか。
以下では、クレジットカードの支払いができないときに起こるリスクについて紹介します。
カードの利用が停止される
支払いができないと、その状況が解消するまでクレジットカードは一時的に利用停止となります。公共料金や動画・音楽配信サービスなどのサブスクリプション、保険料などをクレジットカード払いにしている場合、クレジットカードが利用停止してしまうとそれらの支払いも滞ってしまうため注意が必要です。
なお、同じカード会社のクレジットカードを複数枚持っていても、すべてのクレジットカードが利用停止となるので注意しましょう。
遅延損害金が発生する
クレジットカードの支払いが遅れると、遅れた日数分「遅延損害金」が発生します。支払いの遅れが発生すると、カード会社が定めた利率で遅延損害金を請求されることになります。
【遅延損害金の計算式】
遅延損害金=借入残高×遅延損害金利率(年率)÷365日(※)×遅れた日数
(※)うるう年の場合は366日
遅れた日数分だけ、遅延損害金も高額になります。利率も通常の利息より高く設定されることが一般的で、支払いが遅れるほど完済が難しくなります。
万が一支払いに遅れが発生した場合は、少しでも遅延損害金を抑えるためにも早急な支払いが必要です。
延滞の履歴が信用情報に登録される場合がある
クレジットカードの支払いが遅れると、延滞の履歴が信用情報に登録される場合があります。金融機関は審査の際に信用情報機関にカード利用者の情報照会をおこなっています。信用情報は他の金融機関にも共有されるため、信用情報に延滞の履歴などの情報が登録されると新規でクレジットカードやカードローンを利用したいと思っても審査に影響することがあるので注意が必要です。
また、信用情報に登録された情報は一定期間履歴として残るため、将来的にマイカーローンや住宅ローンを利用したいと思っても審査に影響が出ることも考えられます。
クレジットカードの支払いは、遅らせずに信用を保つことが大切です。
クレジットカードの支払日までにやっておくべき対策は?
クレジットカードの引き落とし日(支払日)に銀行口座が残高不足だと、支払遅延を起こしてしまいます。ここでは、クレジットカードの支払日までにやっておくべき対策について解説します。
ご利用明細・引き落とし日(支払日)の確認
クレジットカードで買い物をすると、カード会社から利用明細書が交付されます。必ず利用明細(利用日、利用場所、金額、支払方法など)と請求額、引き落とし日を確認しましょう。このときに利用した覚えのない明細があれば、不正利用の可能性があるのでカード会社へ連絡しましょう。次に請求額を見て、引き落とし日に支払いができるか確認しておきましょう。
カード会社の多くは、Web明細サービスを実施しています。このサービスに登録しておけば、パソコンやスマートフォンから利用明細が確認できるので便利です。
銀行口座(引き落とし口座)の残高確認
クレジットカードの利用明細書をチェックしたら、引き落とし日が来る前に銀行口座の残高を確認することが重要です。もし残高が不足しているようであれば入金しておきましょう。
毎月、クレジットカードの引き落とし日(支払日)の前日までに残高を確認することを習慣にしておけば支払遅延を防げます。また、利用している銀行のアプリを利用すれば、スマートフォンで残高を確認することができ便利です。
メール通知サービスやアプリなどを活用して支払日を忘れないように心がける
金融機関の中には、クレジットカードなど銀行口座引き落とし日や引き落とし金額などをメールで通知してくれるサービスを提供しているところがあります。
また、カード会社の公式アプリを利用するのもよいでしょう。クレジットカードの支払日や請求額を確認できます。さらに、スマートフォンのリマインダー機能を利用して支払日の前日などに通知が来るよう設定しておけば、忘れず残高を確認することができます。
アコムのクレジットカードであれば公式アプリ「myac」を使用して24時間スマートフォンから支払日や返済金額を確認することができます。
クレジットカードを利用するタイミングを変える
高額な買い物をする際に請求額が気になるようなときは、クレジットカードを利用するタイミングを変えてみましょう。いつでも気軽にクレジットカードを使っていると、その月の請求額が膨れ上がって支払いができなくなることがあります。
残高不足になりそうなときは、買いたいものがあっても締め日を過ぎるまで購入を待つのも1つの方法です。締め日を過ぎた利用分は翌月の請求となり、請求を1カ月遅らせることができるので残高不足を防げるでしょう。
ライフサイクルにあわせた引き落とし日(支払日)カードの選択
クレジットカードを利用する際は、自分のライフサイクルに合ったクレジットカードを利用することをおすすめします。クレジットカードを利用するときに最も注意したいのは、残高不足による支払いの遅延です。
例えば、引き落とし日(支払日)が給料日のすぐあとに来るクレジットカードを選択すれば、残高不足を防ぐことができます。給料日が20日なら引き落とし日が26日や27日のクレジットカードを、給料日が25日や月末なら引き落とし日が10日のクレジットカードを選択するとよいでしょう。
万が一、引き落とし(支払い)が間に合わないときの対処法は?
いつもよりクレジットカードの利用額が多くなり、引き落とし日(支払日)までに銀行口座へ入金ができず、どうしても引き落とし(支払い)に間に合わない状況になることがあるかもしれません。そんなときは以下の対処法を検討してみましょう。
・支払い方法を分割払いやリボ払いに変更する
・再引き落としの日程や時間を確認する
支払い方法を分割払いやリボ払いに変更する
クレジットカードによっては、あとから分割払いやリボ払いに変更できるものもあります。1回払いでは支払えるお金が用意できない場合は、分割払いやリボ払いへの変更を検討してみましょう。
分割払いやリボ払いは手数料がかかってしまいますが、支払いが間に合えばクレジットカードの利用履歴に延滞の情報が登録されずに済みます。また、分割払いやリボ払いへ変更しても支払回数をできるだけ少なくすれば、手数料は抑えられます。
ただし、手数料がかからない2回払いやボーナス払いは、クレジットカードを利用するタイミングでしか指定できません。クレジットカードを利用して高額な買い物をしたとき、口座残高が気になるのであれば、クレジットカードを利用するタイミングで2回払いやボーナス払いを指定しましょう。
再引き落としの日程や時間を確認する
クレジットカードによっては、「再引き落とし日」が設定されています。カード会社のウェブサイトに「支払いが間に合わなかったときの再引き落としの日程や時間」が掲載されていれば、その時間までに間に合うようにお金を用意し支払いを完了しましょう。
また、クレジットカード会社によっては再引き落としの対応をしていない場合もあります。万が一引き落としが間に合わない時は、まずはクレジットカード会社に連絡し支払いの対処方法を確認しましょう。
まとめ
いつでも安心してクレジットカードを使うためには、支払いの仕組みを理解したうえで、締め日、引き落とし日(支払日)がいつになるのか確認しておくことが重要です。また、クレジットカードの支払い遅延を起こさないよう、銀行口座の残高確認も忘れないようにしておきましょう。
監修者:高柳 政道
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®、DCプランナー2級
金融コラムニストとして資産運用・生命保険・相続・ローン商品・クレジットカードなど多岐にわたる執筆業務と監修業務に携わり、関わった記事案件は500を超える。
企業に属さないFPとしても活動し、客観的な立場から投資・保険商品の選び方を中心に情報発信を行う。