創造と革新の経営の歩み
「創造と革新の経営」の歩み。そしていまその歩みは新しい歴史の創造へ
呉服商としての創業
アコムは1936年4月2日、神戸市生田区(現中央区)の三宮商店街で「丸糸呉服店」として創業しました。創業者の故・木下政雄は、この商いをはじめるにあたって、「人を信頼する、人から信頼される」という相互信頼の精神を信条にしていくことを心に誓います。「丸糸」の屋号も、呉服の要素に通じる経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の和合が、相互信頼を表すことから決められたものでした。
「心から人を信じれば、人は必ずそれに応えてくれる」。
その輪を拡げていきたいとの願いを『信頼の輪』の四文字に込めた創業者は、実際そのとおりの商いをおこなっていきます。
ある日、店先で反物を前にして、柄選びに迷っている娘さんがいました。当時、反物は非常に高価な商品だったため、自分の一存ではとても決められない様子でした。それを察した創業者は、「家に持ち帰ってお母さんと相談されてはいかがですか」と、四反の反物を娘さんにお渡ししたのです。しばらくして、娘さんはお母さんと一緒に店に戻ってこられました。お母さんは、「こんな高価な品物を見ず知らずのこの子に預けていただいて…」と驚き、恐縮しながら気に入った反物を買っていかれました。
この時に芽生えた信頼の絆がご縁となり、その後の長いお取り引きにつながっていきました。丸糸呉服店の「人を信じる」という商いの心は、多くのお客さまの共感を呼び、またそれが評判となっておおいに繁盛していきました。しかも、お客さまを信用して裏切られたことは一度もなかったといいます。
呉服商から質屋業へ
創業以来、順調に発展していた「丸糸呉服店」は、戦局劣勢の情勢を受け、1942年12月に自主廃業しました。
その後、創業者は、1948年7月に質屋業を再興。神戸の灘店を皮切りに、元町店、青木(おうぎ)店、さらに大阪に梅田店を開設し事業を拡大する一方で、手形割引や商人貸付などの金融業も営んでいきました。
丸糸がサラリーマン金融を開始
1960年代に入ると、日本は大量生産・大量消費の時代を迎え、質屋業という「対物信用」を支える物の値打ちが下落していきました。また、この当時は、「主婦の店ダイエー」の登場による流通革命が起こっており、創業者は、庶民金融の近代化も急務との意を強く持つこととなり、そこで決断したのが、「対人信用」で融資をおこなうという、当時の常識になかったサラリーマン金融(勤め人信用貸し)への挑戦でした。
1960年3月から試験的にビジネスを開始し、その3年後には専業としていく構想を発表。新しいタイプの庶民金融システムは、多くの消費者に受け入れられました。
東京進出
1967年8月、東京進出の第1号店となる東京店を八重洲の大通りに面したビルの1階にオープン。庶民金融の店舗は裏通りで営業するのが常識だった当時、明るいイメージを全面に打ち出し、独自の営業を推進した東京店は、マスコミにも取り上げられるほど世間の注目を集め、モデル店として同業者が見学に訪れるまでの存在になっていきました。
日本初の現金自動貸付機を開発
1960年代、自動販売機の急速な普及を視野に入れて開発したのが、日本初の「現金自動貸付機」によるカードローンです。1970年5月に、年中無休・24時間稼働でサービスを開始。紙にパンチ孔をつけたラミネートカードを自動貸付機に差し込むと、2万円入りの封筒が出てくる仕組みで、機構は自動販売機そのものでした。
アコム株式会社設立
1978年10月23日、前身となるマルイト株式会社の100%出資により、アコム株式会社が設立されました。その背景には、消費者信用産業を事業領域とした公開企業を目指すという強い意志があり、これを明確に表現するためには、呉服商にさかのぼる“糸へん”に関連した社名からの脱却を図る必要がありました。
アコムの社名は、「愛情」(Affection)、「信頼」(Confidence)、「節度」(Moderation)の頭文字をとって命名されています。
愛情とは、「お客さまの立場に立った、心のこもったあたたかいおつきあい」を、信頼とは、「お客さまとのよりよき信頼関係を築きあげる」という行動指針を表現したもので、創業以来の「お客さまを信用します」の精神をともに受け継いでいます。
節度は、「お客さまの暮らしのなかに、健全に生きる節度ある企業姿勢」を示し、社会に根ざした企業として、愛され親しまれていこうとの願いが込められています。
24時間稼働のATMサービスを開始
現金自動貸付機で先鞭をつけた先端技術によるお客さまの利便性追求は、ATM(現金自動入出金機)を採用したサービスへとつながっていきます。
1979年12月、消費者金融業界ではじめて年中無休・24時間稼働のATMを導入。さらに、カードローンにリボルビングシステムを付加するなど、先進的なサービスを推し進めました。
業界に先駆けて開発した自動契約機「むじんくん」
「はじめてのお客さまが最も気にされるのは、店頭での対面による契約の手続き。これと同様の手続きを機械に代行させれば、誰の目も気にせずにご利用いただける」という社員から出されたこのアイディアが会社を動かし、1993年7月の「むじんくん」デビューにつながりました。この革新的な発想の転換が、マーケットに潜在していた多くのニーズを顕在化させ、アコムはもとより業界全体を発展に導く牽引力となりました。
店頭公開から東証一部上場へ
1993年10月1日、アコムは株式を公開し、店頭株式市場への登録を果たしました。
その翌年の1994年12月15日には店頭登録後史上3番目の早さで東京証券取引所第二部に上場し、その2年半後の1996年9月2日には市場第一部の指定銘柄となっています。
消費者金融業の株式公開には先例がなく、公開準備には多くの労苦を要しましたが、これに携わった社員の昼夜をいとわぬ努力により実現することができました。
海外における金融事業
1996年9月に設立したタイ王国の連結子会社EASY BUY Public Company Limitedでは、個品割賦事業を主力事業としておりましたが、2001年にはローン事業にも参入し、ノンバンクにおけるマーケットシェアはNo.1の20%以上を維持しております。差別化戦略の一環として立ち上げたローンカードブランド「Umay+カード」は、同国内で認知度も高く、ブランド優位性を確保しています。
また、2017年7月には、フィリピン共和国に個人向け融資事業の合弁会社「ACOM CONSUMER FINANCE CORPORATION」を設立し、2018年7月に事業を開始しました。さらに、2021年7月には、マレーシアに連結子会社「ACOM(M) SDN.BHD.」を設立し、2023年9月に事業を開始しました。
今後も事業拡大に向けて、アジア諸国を中心に調査活動を継続していきます。
業界初のクレジットカード事業進出
アコムは、1998年7月にMastercard Internationalのプリンシパルメンバー(発行資格人)となり、消費者金融業界ではじめてクレジットカード事業に進出。お客さまにとって最もご利用しやすい総合的なメリットを持つクレジットカードとして開発されています。
三菱UFJフィナンシャル・グループとの提携
環境の変化、市場の変化、お客さまの変化に対応し、常に変わり続けることを信条にビジネスを展開してきたアコムは、2004年3月、三菱東京フィナンシャル・グループ(現・三菱UFJフィナンシャル・グループ)との戦略的業務・資本提携というビッグアライアンスを実現させました。
三菱UFJフィナンシャル・グループとの提携スキームは着実に前進しており、消費者信用市場におけるアコムグループの成長をより確かなものとしています。
また、2008年9月には、更なる業務・資本提携の強化を公表し、同12月、アコムは三菱UFJフィナンシャル・グループの連結子会社となりました。